物理探査
1.どんな仕事
活断層調査などの防災分野や、鉱物資源の存在状態、構造物を構築しようとする場合、まず地下構造がどのようになっているかを知る必要があります。
皆さんも知っているボーリング調査では、地下構造や物性値を直接的に採取することにより、調査地点における一次元あるいは点としてのデータを得ることができます。一方、物理探査では、人工的、自然的に地下に生じた物理現象を測定・解析することによって、地下構造を二次元、三次元的に広範囲に視覚的に捉えることができます。これが物理探査の仕事です。
2.代表的な物理探査手法の紹介
1)反射法地震探査
地表付近で人工的に発生させた弾性波は、岩相や地層境界等の密度や速度が変化するところから跳ね返ってきます。この跳ね返ってくる波に着目して解析を行うのが反射法で、反射法地震探査は、地下構造や断層位置の把握、資源(石炭・石油)の探査に適しています。
測定概念図
反射面の三次元表示
解釈面の三次元表示
2)比抵抗探査
地盤の比抵抗は、間隙率、飽和度、間隙水の比抵抗、導電性鉱物の存在など様々な要因によって決まります。比抵抗探査は、人工的に電流を流して発生する電位を測定することで地盤状況を把握する手法で、断層・地すべり調査に適用されます。
測定風景
解析結果例
3)比抵抗モニタリング
同一場所で経時的に繰り返し測定して地盤の物性変化を調べる方法は、時系列探査とか繰り返し探査などと呼ばれているモニタリング手法です。比抵抗モニタリングでは、地盤の比抵抗をモニタリングすることで、地下水位の経年変化や地下水の流れに伴う塩水トレーサの移動、グラウト注入範囲、岩盤掘削に伴うゆるみ領域などを調べることができます。
解析フロー図
塩水を使って水みちを調べた事例
4)微動アレー探査
風や波浪、車の振動などにより平穏時においてもいたるところで微小な振動が発生しており、この微小な振動を微動と呼びます。微動アレー探査は、微動の周波数-速度特性に着目して、地下のS波速度分布を調べる方法です。大きな地震が発生したときの揺れの予測や、深部のS波速度分布および基盤深度の把握に適用されます。
観測配置
微動地震計
レーリー波・分散曲線から逆解析による一次元地下構造へ