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仕事を知る

トンネル設計(点検・調査・補修設計等も含む)

1.どんな仕事

Wikipediaによれば、トンネルとは、「地上から目的地まで地下や海底、山岳などの土中を通る人工の、または自然に形成された土木構造物であり、断面の高さあるいは幅に比べて軸方向に細長い地下空間」とあります。当社では、主に道路トンネルを対象としています。

トンネル設計は、道路等の計画(トンネル建設の目的等)、地質調査や構造解析等に基づき、掘削工法や支保構造、舗装・排水・非常用設備や施工計画を行い、トンネル工事に資する設計図面・数量計算書等をまとめることです。橋梁等の構造物の設計とは異なりトンネル設計が特殊である点は、トンネルが地中もしくは岩盤中にあり、外力(地圧、土圧、水圧等)の大きさ、方向、作用範囲等が不明瞭なこと、支保構造だけでなく地山耐力(アーチアクション等)も考慮しなければならないことです。またトンネルが自然の地盤、岩盤に支えられているため、地下水や経年劣化の影響を大きく受ける場合と、岩種により人工材料より頑丈で変化しないものがあります。こうしたことから、トンネル工学は、『経験工学』だと言われることが多いのです。

高度成長期に建設されたインフラと同様に、近年、老朽化したトンネルの増加に伴い、メンテナンス(トンネル点検、変状調査、補修・補強設計等)の仕事が増えています。

  • 明治・大正・昭和・平成4代のトンネルが並ぶ 「北海道のトンネル 建設技術の変遷」より
    明治・大正・昭和・平成4代のトンネルが並ぶ 「北海道のトンネル 建設技術の変遷」より

2.具体的な仕事内容

1)トンネル(基本・予備・詳細)設計

道路の場合、道路計画・道路予備設計等からトンネル位置(特に坑口)を確認し、測量、地質調査結果に基づき、トンネル設計(設計計算、設計図、工事数量、施工計画など)を行いますが、工事直前の設計を詳細、事前の概略設計を基本・予備と呼びます。基準書に基づき支保構造等を決定し、CADで作図、コンクリートや鋼材等の数量を算出し、工事の基礎資料とします。坑口付近では、斜面安全対策(落石、雪崩、土砂崩壊)等の設計を伴う場合も多々ありますし、最近では、(坑口の)景観や工事中の環境対策(騒音、振動、汚水、動植物への影響など)、さらには掘削土に含まれるヒ素、鉛などの重金属の処理などにも配慮することが必要です。

2)トンネル点検

定期的に、トンネルのコンクリート(覆工)、路面、照明や非常用施設などの付属物の点検を(道路の場合、5年に1回以上)実施しなければなりません。点検では高所作業車等を用い、近接目視やハンマーによる打音、触診により、コンクリートの浮き・はく離、漏水、ひび割れ、付属物の損傷等を調べ、叩き落し等で現地における措置を可能な限り行って、対策の要否を判定して記録します。この記録を元に、補修設計、補修工事が行われます。

  • 高所作業車による点検の様子
    高所作業車による点検の様子

3)トンネル変状調査

トンネル点検などから構造的な欠陥・損傷等がある場合には、詳細調査を実施します。変状の状況にもよりますが、コンクリートや地山のボーリング調査、各種の試験、必要に応じ数値解析等を行い、変状原因を推定し、対策工設計に必要な基礎資料を揃えます。

4)トンネル補修・補強設計

点検、調査結果等から、はく落防止対策、漏水対策等の補修設計、また構造的な欠陥・損傷に対しては補強設計を行い、工事に必要な設計図、数量計算、施工計画等を作成します。

最近は、アセットマネジメントを考慮し、優先順位の策定や予防保全といった配慮も欠かせません。また管理者へのアドバイス(日常パトロール等での着眼点など)も必要になります。

  • 明かり巻トンネルの補強(繊維シート内面補強工と外荷重低減対策)の例
    明かり巻トンネルの補強(繊維シート内面補強工と外荷重低減対策)の例
  • トンネル内の状況
    トンネル内の状況
  • 明かり巻トンネルの補強後の概観
    明かり巻トンネルの補強後の概観