河川堤防設計
1.どんな仕事
近年多発している集中豪雨や地震から河川堤防を防護するため、耐浸透、耐侵食、耐震に対する補強や設計を行うものです。
ここでは特に「浸透対策設計」について紹介します。
■耐浸透 | 河川水位の上昇や降雨の影響により、堤防内部の浸透水位が高くなり、堤防のすべり破壊や、堤内地で漏水が生じたりします。これを防ぐため、堤体内の水を速やかに排水するためのドレーン工や法面の遮水などの対策を行います。 |
■耐侵食 | 激しい川の流れにより、堤防の表法面の土が削り取られることにより、堤防が危険な状態になります。これを防ぐために護岸工や根固工などの対策を行います。 |
■耐震 | 地震により生じる堤防の変形や液状化などにより、堤防機能が失われることがあります。これを防ぐために鋼矢板や地盤改良などの対策を行います。 |
2.仕事の流れ
1)設計計画
業務の実施方針、工程、実施体制等の計画を行います。
工程計画:工期内に業務を遂行するための工程を計画する
実施体制:業務を実施する担当者とその役割を決定する
図 業務の実施フロー
2)現地踏査
現地踏査を行い、河道状況、堤防やその他附帯構造物の状況、周辺の土地利用状況等を整理し、検討の基礎資料とします。
写真1 河道状況
写真2 法留擁壁
(目地ズレあり、堤脚水路なし)
写真3 土地利用状況(公園)
3)解析条件の設定
■外力の設定
浸透流解析では降雨と河川水位を外力として設定し、堤防の安全性を評価します。
■土質条件
ボーリング等の現地調査結果を用いて想定地質断面図を作成し、土質定数(単位体積重量、粘着力、内部摩擦角)の設定を行います。
■地質断面図メッシュ図の作成
4)浸透流解析
■安定計算結果図(すべり破壊)
5)対策工設計
■対策工法の検討
経済性や施工性、景観性等を踏まえて対策工法を比較し、現地にあった最適な工法を選定します。
以下の例では、適用可能な工法3案を比較し、ドレーン工法を採用することとしました。
■配置検討
官民境界や周辺施設などに留意して平面的な配置検討を行います。
以下の例では、既設擁壁の位置と高さを考慮して、配置検討を行いました。
■構造検討
採用した対策工(ドレーン工)の形状や水路等の構造について検討します。
■対策前と対策後
写真1 対策前
写真2 対策後(ドレーン工)