本調査は、3つのフェーズ(机上調査、地表踏査、詳細調査)にて実施します。
【フェーズ①】机上調査
主に机上調査ですが、調査を効率的に進めるためには必要不可欠です。
既往の調査結果から、活断層の分布、性状を把握します。 ◎地震本部の長期評価、「日本の活断層」(20万分の1) ◎「都市圏活断層図」(2.5万分の1)、活断層データベース・既往研究成果(学会誌など) 【成 果】 ・既往調査による活断層の位置図(文献毎や重ね合わせ図) ・整理結果資料(活断層の規模、活動性) |
最近の地質時代に活断層によって動かされた可能性のある地形を抽出します。 もともと一続きであったと推測される谷や尾根、段丘面などが食い違っている場合、断層の通過位置をほぼ特定することができます。 ◎地形判読・解析(2.5万分の1の読図、数値地図による画像処理、水系図・接峰面図など) ◎空中写真判読(4万分の1~1万分の1など) ※都市部などの人工改変地では、戦後の米軍基地や参謀本部の古地図なども併用します。 ・変動地形学的調査 広域的な地形調査によって、地形の成因や地形発達過程を重視した手法で活断層の有無について解析します。 ・DEMデータ(航空レーザー計測、既存データ)の利用 樹木の影響を除いた詳細な地形判読を実施します。 【成 果】 ・活断層推定線(リニアメント)の分布図 ・地形面区分図 ・画像処理図 など |
【フェーズ②】地表踏査
調査対象地域を、専門技術者が踏査してデータを取得します。フェーズ①における文献調査結果、地形調査結果も総合して、活断層の存否を判断、推定します。
地形調査成果を踏まえて、活断層推定線(リニアメント)付近を踏査して、谷や尾根の食い違いの線上に破砕帯がないか、食い違っている段丘面などが確かにもともと一続きで同じ時代に形成されたものであるかという観点でデータを取得します。 ◎段丘面形成年代調査 第四系地質図作成、火山灰分析、古土壌調査、堆積物調査 ◎破砕帯分布、性状調査 ルートマップ作成、露頭スケッチ、地質構造解析、理化学分析 ◎年代測定 放射性炭素年代測定など 【成 果】 ・活断層ストリップマップ (地質図に活断層の分布や明瞭な地形の食い違いを重ね合わせた図) ・露頭スケッチ、断層性状整理資料 ・年代測定、分析結果データ ・活断層の規模、活動性の整理結果資料 |
【フェーズ③】詳細調査
フェーズ①およびフェーズ②で得られた調査結果に、さらに詳細なデータを追加・補足して、活断層の実体を明らかにします。
○反射法地震探査 縦ずれ断層が厚い第四紀層で覆われている場合や、深部の断層構造を把握します。 ○電気探査、電磁探査 横ずれ断層の断層破砕帯や、断層で接する地層境界の比抵抗の違いを把握します。 |
○地形調査や反射法地震探査などで断層が推定される場合に、断層の存在確認や地下形状を把握します。 ○断層推定箇所を横断させるように、ボーリングを密に配列させて地層の上下の食い違い量(変位量)を正確に計測します。 |
断層が推定される場所に、溝(トレンチ)を掘削して、壁面に出現した活断層の地層断面を観察・スケッチして、断層の活動年代や、ずれの動き方を把握します。 活動年代は、断層が動くことで切られた地層の年代と、その後に断層を覆って堆積した地層の年代を挟み込むことで求める「上載地層法」と言われる手法を用います。 |
| 概要 | 調査方法 |